令和6年
3月
 


 寒い冬がやっと過ぎて、重いコートを脱ぎ去る春がおとずれました。
と言っても、今年の冬は例年にない記録的な暖冬ということで、春の花の開花も例年にくらべて二週間以上も早くなったといい、梅と菜の花と早咲きのの桜が同時に見られるということになりました。
 もうすぐソメイヨシノの花も咲き、心うきうきする本格的な春になりますね。
 でも、天気は春でもまだまだ心の春の来ない所がたくさんありますね。
 お正月の一日から、能登半島では大きな地震にみまわれました。なにも家族友人そろってお正月のお祝いをしている最中に地震なんかこなくてもとつい恨み言も言いたくなりますね。
 どんなに人間の文明科学が発達しても、天地自然の力の前には無力感がきわだちます。
 いまだにたくさんの人々が、住む家も仕事の場所も失い途方にくれています。早く心の本当の春がおとずれることを願う今日この頃です。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。
 世界を見れば、天地自然の脅威による災害ばかりではなく、人間同士が引き起こす悲惨な目を背けたくなるような災害もふえています。ウクライナでもイスラエルのガザでも。春はなかなか訪れないようですね。
 春三月はお彼岸の候です。
 お彼岸は四季のはっきりとした日本独自の仏教行事ですが、「祖先を敬い、亡き人を偲ぶ」とともに「自然をたたえ、生物をいつくしむ」時となっています。
 今自分がここに生きていられることは、今ある命と今は亡き無数の命のおかげであり、天地がどんなに猛威をふるおうとも、天地自然の大いなる恵みのおかげなのです。
 今自分がこの世の中で幸せに暮らしたいと願うのなら、まずは他の命の幸せと天地自然の幸せを思いやることからはじまります。
 でも今、自分の幸せと利益だけを願い、他の命の幸せをないがしろにし踏みにじる人達がなんと多いことでしょうか。
 この人たちの願う幸せはなんでしょうか。お金ですか名誉ですか。
 限りない欲望の末のはかない幸せは、地獄への片道切符となるでしょうね。
 こんな時代だからこそ、このお彼岸の時に、真西に沈む真っ赤な夕日に極楽浄土を想い「明るく 正しく 仲良く」みんなが暮らせる世界を考えてみましょう。
 真っ赤に染まる夕日を、血の色に見たくありませんものね。